行政書士試験独学ブログ

行政書士試験に独学で挑む方のために

合格可能圏と、合格安全圏の目指し方

半年ほどの短期合格を狙う場合、合格可能圏(50%)には比較的短期で簡単に到達する気がします。

しかし、合格安全圏(70~80%)を目指す場合は、かなりの学習が必要です。

 

■超短期でもまぐれで合格できる

個人的な感覚ですが、行政書士試験用の基本テキストを一通り何となく3ヵ月ほど学習するだけで、合格確率は40~50%に到達します。

実はこの程度の学習で、消去法で各問題3択程度に絞り込むことができることが多いため、意外とまぐれで得点できてしまいます。

実際、私は7月の模試はまぐれで188点でした。

なので、超短期でもまぐれで合格する可能性は十分に出てきます。

これが、行政書士試験は簡単だ」という風潮を生んでいる一因だと思います。

 

しかし、合格確率40~50%というのは、決して楽観できる確率ではありません。

1年に1度しかない試験に、合否半々の確率で挑むというのはあまり気持ちのいいものではありません。

 

本当に合格を目指したいなら、合格確率70~80%、あるいはそれ以上を目指したいところです。

そして、このような高い合格率に持っていくには、かなりの学習が必要になります。

なんとなく基本テキストを一通り読む程度の学習では、到底到達できません。

これが、行政書士試験の難しいところです。

合格可能圏内には比較的短期で到達できますが、合格安全圏内にはかなり学習しないと到達しません

 

 

■合格率70%を目指す

「何となく3択くらいに絞り込んで、たまたま正解して、たまたま180点を超えた…」

こういうおぼつかない合格可能圏から脱するには、かなりの学習が必要です。

 

具体的には、行政書士用の基本テキストを超えるレベルで、細かな論点を暗記します。

たとえば、行政法であれば、条文の暗記を進めます。

行政事件訴訟法の準用関係まで細かく暗記できると理想的です。

判例もたくさん頭に入れます。

民法であれば、消費貸借・使用貸借のような、手薄になりがちな論点までだいたい暗記しておきます。

 

ただし、短期学習のデメリットとして、覚えてもすぐに忘れてしまうと思います。

知識がなかなか長期記憶にならず、短期記憶にとどまってすぐに頭から落ちてしまいます。

どうせ9月に暗記しても、1ヵ月後にはすべて忘れています

 

しかし、この時期は、忘れてしまっても気にせずどんどんインプットを進めます。

広範囲(全範囲)にわたって「一度覚えたけど忘れた、なんだっけ…」という状態にしておき、テキストを見れば「あ、そうだった!」とすぐに思い出せるようにしておくことが重要です。

「寄託の解除をできるのは、誰だっけ、なんか条件がややこしかったような…一回覚えたけど忘れた…、テキストのあの辺に書いてあったな…」みたいなぼやっとした状態です。

その「なんか条件がややこしかったような…」という認識が非常に大切です。

この時期は、うろ覚えな項目が多くなり、勉強しても点数に結びつかない苦しい時期になります。

私はLECのファイナル模試(10月)は、160点で不合格判定でした。

 

このうろ覚え感から脱却するのが、最後の1ヵ月です。

 

 

■合格確率80%を目指す

直前1ヵ月は、全範囲を一気に正確に覚えます

10月からに一気に正確に暗記して、知識が短期記憶にとどまっている状態で本試に臨みます。

 

ここで重要なのが、10月までに広範囲(全範囲)の論点・条文・判例をうろ覚えの状態(一度覚えたけど忘れた状態)にしておき、テキストを見れば「あ、そうだった!」とすぐに思い出せるようにしておけたかです

10月までにこのような状態にしておくことで、直前1ヵ月という短い期間で、全体を一気に暗記することができます。

 

さすがに、一度も勉強したことがない内容をすべて1ヵ月で覚えるのは難しいです。

一度勉強したことがある…昔覚えたけど忘れた…。

10月までに全範囲をそういう状態にしておけるかが、直前期の成果に直結します。

 

おそらく、最後の1ヵ月が最も重要で、かつ最もしんどい時期だと思います。

行政書士試験の範囲はかなり広いので、徹底的な暗記にはかなりの時間がとられます

10月にどれだけ学習時間を確保できるかが、大きく合否に影響します。

私はうまく時間を確保できたので、本試は240点超で合格でした。

短期合格のコツ

合格可能圏内(50%)には、比較的短期間で到達できると思います。

これが、「行政書士試験は簡単だ」という一部の風潮がある原因です。

 

しかし、合格安全圏内(70~80%以上)を目指すと、かなりの学習が必要になります。

たとえば、5月から勉強を始めて半年で合格を狙う場合、合格確率は、以下のようなイメージです。

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ポイントのひとつ目は、7月に合格可能圏(50%)に入ることです。

基本テキストを何となく一周しておく程度の学習で、50%に到達します。

おそらく7月頃から模試が始まると思いますが、まだしっかり学習していないのに180点を超えて自分でも驚く人がいると思います。

しかし、油断してはいけません

その合格点は、たまたまです。まぐれです

 

 

ポイントのふたつ目は、直前期(10~11月)です。

ここが最も大切な時期です。

ここで、一気に合格確率を上げる学習をします。

それは、徹底的な暗記です。

 

短期合格を目指す場合、学習した内容が長期記憶になる余裕がありません。

7~9月にかけても広範囲な暗記学習を行うのですが、覚えて1ヵ月もすれば頭から抜け落ちてしまいます

なので、直前1ヵ月で、全範囲を徹底的に正確に暗記し、短期記憶で頭が膨らんだ状態で本試に臨むのが、短期合格を目指す場合の戦略になります。

 

1年、2年かけて合格を目指す方は、直前期は問題集や過去問でアウトプットの練習などをしているかもしれません。

なぜなら、彼らはすでに知識が頭に入っているからです。

 

しかし、短期合格を目指す場合は違います。

テキストや判例集、条文を使って、正確な知識をできるだけたくさん頭に入れて本番に臨む必要があります。

問題集のアウトプットで得られる知識は、散漫です。数も多くありません。

 

以上の考察から、私の考える短期合格を目指すコツは、次のとおりです。

あくまで一案です。

・7月までに、行政書士用の基本テキストで、何となく概要をつかんでおくこと

・10月までに、条文・判例を含め、論点全体を一度は暗記しておくこと(忘れてもよい)

10月~11月で、全範囲を一気に正確に覚えきること

私の使用教材

私は、下記の教材を使って、法学知識ゼロから約7ヵ月の独学で合格しました。

記述抜きで196点、記述で約50点でした。

基礎法学・憲法行政法は満点でした。

30代半ばの社会人でしたが、仕事の合間の勉強で合格できました。

 

学習環境やバックグラウンドはみなさま各様だと思いますが、何かの参考になりましたら幸いです。

 

 

■基本テキスト

『うかる!行政書士総合テキスト』(伊藤塾日本経済新聞社

最初の3ヵ月ほどは、これをメインに独学していました。

しかし、最初のLEC模試(7月:188点)を受けてから、この教材ではそもそもの情報量が足りないかも…と思い、他のテキストに手を伸ばし始めました。

9月頃からは、このテキストを手に取る機会はほぼなかったと思います。

なお、付録の「ハンディ行政書士試験六法」は、最後の最後まで活用しました。持ち運びに便利で最高です。

行政書士試験用の六法は、これが最適だと考えています。

 

 

■追加基本テキスト

司法書士スタンダード合格テキスト(民法3冊)』(早稲田経営出版)

法学初心者だったので、『うかる!行政書士総合テキスト』では民法の説明が簡潔過ぎて、理解できない箇所が多かったです。

9月から使い始めた司法書士用の『スタンダード合格テキスト』は説明が具体的でわかりやすいので、これでようやく民法が分かり始めた気がします。

もちろん計3冊と大部なので、すべて学習しきることはできませんでした。

根抵当、親族法、遺言は捨てました。

それでも、この本が独学では最も効率的だと感じます。

 

司法書士スタンダード合格テキスト(商法・会社法)』(早稲田経営出版)

商法・会社法も、やはり『うかる!行政書士総合テキスト』では簡潔すぎて理解できませんでした。

やむを得ず選択したのがこのテキストです。

同シリーズの民法編と違って、こちらはなかなか頭に入ってきませんでした。

おそらく、会社法自体が、民法より暗記要素が強いためです。

直前期10月から機関・設立を何とか学習しきりましたが、株式や他のテーマは捨てました。

 

 

■補助教

『うかる!行政書士新・必修項目115』(伊藤塾日本経済新聞社

憲法民法地方自治法の整理が非常に有益でした。

また、行政事件訴訟法の準用関係も整理されていたのが助かりました。

ただし、この本の注意点としては、これはあくまでも情報の整理だということです。

つまり、この本を読んで「便利だ!」と思えるようになるには、一定程度学習が進んでいる必要があります。

まったく初学者の状態でこの本を読んでも、おそらくなにもわからないと思います。

憲法判例知識については、私はこの本をメインに学習しました。

 

『うかる!行政書士民法行政法解法スキル完全マスター』(伊藤塾日本経済新聞社

独学を始めた初期の頃、基本テキストだけだと何に着目して学習をしていけばわからない…という時期がありました。

その時期にこの本を読んで学習の際に着目すべきイントが分かったような気がします。

基本的テキストと平行して、最初の模試(7月:188点)までにこの本を一通り読み終えました。

各問題に対する正解が必ずしも明示されていないため、「で、結局答えは何なの!?」と思うことが最初はしばしばありました。

しかし、学習が進むにつれて、正解ではなく考え方が重要なのだと気づくようになりました。

試験の本番近くになっても、繰り返し読んで得るものが多い本だったと思います。

 

LEC模試のおみやげ教材

私はLECの模試を全6回すべて受けました。

その際、おみやげとして、テーマ別の小冊子教材(問題集)をもらえました。

これが非常に役に立ちました

特に、基本テキストでは穴ができやすい判例知識について、網羅的に学習できたと思います。

試験前日に「国家賠償責任・損失補償」のページを一気に学習したのですが、当日の得点に大きく影響した気がします。

予備校はこのほかにも効率的な教材を隠し持っているんだろうな…と思わせるものがありました。

 

『完全整理択一六法:行政法』(東京リーガルマインド

10月ごろの模擬試験の後(LECファイナル模試160点、不合格判定)、判例知識が決定的に不足していると感じたため、それを補うために使い始めました。

基本テキストでは触れられていないような重判例が網羅的に部分抜粋されています。

部分抜粋なので、必ずしも判旨を追いやすわけではありませんが、必要に応じてWebで補って学習していました。

 

 

■問題集

私はアウトプット練習が少なく、インプットのごり押しで合格しました。

使用した問題集や回数はごく少ないです。

 

『うかる!行政書士総合問題集』(伊藤塾日本経済新聞社

直前期11月に1回解き、間違えた問題だけもう一度復習しました。

アウトプットの練習としてはよい問題集ですが、やはりこれだけでは穴ができると思います。

 

『みんなが欲しかった!行政書士肢別問題集』(TAC出版)

6月ごろから使い始め、計4週ほどした気がします。

地方自治法の学習は『うかる!行政書士新・必修項目115』だけではやはり穴ができたので、この問題集を繰り返して穴をふさぎました。

この問題集のよいところは、解説が明瞭で分かりやすいところです。

基本テキストで学習した分野を、この問題集で知識を定着させる/補う、という使い方がよいと思います。

 

山本浩司のオートマ過去問(民法2冊)』(早稲田経営出版)

民法のアウトプットに使いました。

9月から2週ほどしたと思います。

同種の問題が連続していたり、解説が分かりやすかったりするので、民法の知識定着にはうってつけだと思います。

 

 

■過去問

実は、過去問は1年分も解かずに本試を迎えました。

模試を6回受けていたので、解く必要はないだろうと判断しました。

本当は5年分ほど解きたかったのですが、直前期は基本テキストの総読み返しに時間を割いたので、過去問にまで時間がまわりませんでした。

 

 

■模試

LECの模試を計6回受けました。

・到達度確認模試 x2

・全日本行政書士公開模試 x2

・ファイナル模試 x1

・厳選!直前ヤマ当て模試 x1

ファイナル模試が160点で不合格、その他は190点程度で合格判定でした。

直前期の10月半ばから、解き直しと、出題分野のテキスト復習をしました。

おそらく意図的だと思いますが、出題項目がバラけているので(特に行政法)、これに沿って出題分野のテキストを読み直すだけで、網羅的に復習できます。

また、模試はおみやげ(前述)がかなり強力でした。

 

 

■購入したが使わなかった教材

・『みんなが欲しかった!行政書士40字記述問題集』(TAC出版)

模試で記述式の傾向を何となく把握したので、この問題集はほぼ使いませんでした。

まったく苦手な方は、第一章「解法マニュアル」は一読してもいいかもしれません。記述する際に気を付けるべき点を知ることができます。

答案の作成方法に特に苦手意識がない方は、条文・判例・定義の暗記を意識しながら、基本テキストや法律を何度も読み返すのが、記述式対策の最良の方法だと思います。

 

・『体系別短答式過去問集:行政法』(早稲田経営出版)

司法試験用の問題集です。

行政法は完璧にしようと8月頃に購入したのですが、結局は解く時間がありませんでした。

行政書士試験の対策で、司法試験の問題も解けるじゃん!という自信を得たい方は、ぱらぱらと解いてみるのもいいかもしれません。

意外と解けます。

 

・『逐条テキスト1:憲法』(早稲田経営出版)

憲法判例知識を補おうと思い購入しましたが、手が回らず使いませんでした。

判例知識は、LEC模試のお土産や、『うかる!行政書士新・必修項目115』(日本経済新聞出版)のみの学習にとどめました。

 

・『逐条テキスト5:商法』(早稲田経営出版)

『うかる!行政書士総合テキスト』(伊藤塾日本経済新聞社)に付属の薄い六法には商法の条文が記載されていないため、それを補うために購入しました。

しかし、結局、一度も読みませんでした。

 

・『完全整理択一六法:民法』(LEC出版)

まったく使いませんでした。

行政書士試験レベルでは、『司法書士スタンダード合格テキスト(民法3冊)』(早稲田経営出版)で取り上げられている程度の条文知識で十分だと思います。

 

 

■六法

私は大部な六法を使いませんでした。

基本テキストに付属していた薄い六法を使いました。

それで十分だと思います。

大部な六法を買っても、使う機会はない気がします。

行政法の判例をどう補うか

行政法の学習には、行政書士試験用の基本テキストを使うのがスムーズです。

民法と違って、何が書いてあるのかわからなくてつまづくことも少ないと思います。

 

しかし、判例についての知識は、基本テキストだけでは不足すると思います。

基本テキストは、一冊にまとめるために、とにかく情報を削ります。

行政法分野では、判例の詳細が削られることが多いように思います。

本試では判例が問われることも多いため、判例知識は別の教材で補う必要があります。

 

この記事では、判例知識を補える教材について私見を述べます。

 

 

判例が問われる分野

判例知識は、次の分野で問われることが多い気がします。

行政法の法理論(私法適用可否、行政裁量など)

行政事件訴訟法(処分性、原告適格など)

国家賠償法・損失補償

これらの判例は、もちろん基本テキストでも触れられています。

しかし、触れ方がごく簡潔(事件名と結果のみなど)な場合が多く、暗記しにくく、試験で出題されても反応できないことが多いです。

また、必ずしも網羅的ではありません。

判例知識は、別の教材で補う必要があると思います。

 

 

■オススメ:模試のおみやげ

私はLECの模試を6回受けたのですが、受験者特典として、簡単な教材冊子を計5冊もらえました。

それぞれ数十ページのごく薄い教材なのですが、基本テキストには記載がないような判例の重要箇所が取り上げられていました。

判例の独学にきわめて有益でした。

特に、行政事件訴訟法」「国家賠償法・損失補償」の冊子には助けられました

独学では出会いづらい重要判例がほぼすべて網羅されている印象を受けました。

この教材がなければ、私の判例知識は穴だらけになっていたと思います。

 

 

■私の経験:司法試験用教材『完全整理択一六法:行政法東京リーガルマインド

私は、行政法判例学習のメイン教材をこれにしていました。

たくさんの重要判例が網羅的に部分引用されているので、どんどん読んでどんどん頭の片隅に入れていきました。

 

司法試験用のテキストなんて大げさな…と思われるかもしれません。

しかし、司法書士試験には行政法がないので、司法試験用の教材をあたるしかなかったのです。

『逐条テキスト』(早稲田経営出版)なども検討しましたが、やはり持ち運びのしやすさで『完全整理択一六法:行政法』が魅力的でした。

 

ただし、『完全整理択一六法:行政法』は判例の中の重要箇所を部分引用しているだけなので、判旨の流れを理解しにくいことが結構ありました。

必要に応じてWeb検索等で補っていきました。

 

 

■未知:『みんなが欲しかった!行政書士判例集(TAC出版)

合格した後に知ったのですが、行政書士試験用の判例集もあるようです。

中身を見ていないのですが、使えそうなら使ってもいいかもしれません。

買って読む機会があったら、レビューしてみたいと思います。

民法のテキストの選び方

市販の行政書士用の基本テキストは、本格的な独学には不向きです。

合格率を80~90%にまで高めたい場合は、司法書士試験用のテキストも活用すべきです。

 

たしかに、行政書士試験用の各社の市販基本テキストは、創意工夫をこらして作成されています。

一冊で、カラー刷りで、初心者にもわかりやすく、手に取りやすい価格帯で…。

独学する際も、どれか一冊は必ず購入すべきだと思います。

 

しかし、私見では、行政書士用の市販基本テキストをメインに独学していては、合格確率は50%程度で頭打ちになります。

 

 

■市販の行政書士基本テキストの弱点

市販の行政書士基本テキストの最大の弱点は、説明が簡潔すぎることです。

行政書士試験の出題範囲はそれなりに広いです。

一冊に情報を整理しようとすると、やはり無理が生じてきます。

 

たとえば、いくつかの重要項目を省くため、知識に穴ができます。

あるいは、説明が簡潔になりすぎます。

 

独学の場合、説明が簡潔すぎると、何を言っているのか理解できないことが頻繁に出てくると思います。

そうした疑問を解決するのは、けっこう難しいものです。

質問に答えてくれる先生はいません。

 

こういったつまづきは、特に民法で起こる気がします。

 

 

民法のテキスト

合格確率80~90%を目指して独学したいなら、一見遠回りに見えますが、司法書士試験用のテキストを活用すべきです。

 

司法書士試験用のスタンダードな民法のテキストは、重要事項を体系的に漏れなく説明しています。

ページ数は膨大になります(たいてい2~3分冊になっています)。

しかし、説明が丁寧な分、はるかに理解しやすいので、むしろ学習効率が上がります

 

■無駄が多くないか

多くありません。むしろ、必要十分だと思います。

行政書士試験と司法書士試験で、民法の難易度に差はほぼない気がします。

司法書士試験のテキストで学習することで、民法の選択問題や記述問題に、確信をもって解答できる可能性がかなり高くなります。

 

いつまでたっても民法が運…

合格するかしないか毎年ぎりぎりの得点…

そういうあやふやな状況を脱却するには、むしろ民法を体系的にしっかりと学習してみるべきかもしれません。

記述問題について

行政書士試験では、記述問題が3問で出題されます。

各20点で、合計で60点です。

試験の満点が300点であることを考えると、かなりの割合を占めます。

 

この記事では、記述試験の傾向と対策について私見を述べます。

 

 

■何が問われるか

問題文に工夫はありますが、思考力を問う問題はありません。

結局は、暗記しているかを問う問題です。

 

具体的には、以下のような解答を求める問題が出題されます。

1. 条文そのものを書く

2. 重要判例の重要フレーズを書く

3. 法学上の定義を書く

これらは、試験中に考えて思いつけるものではありません。

知らなければ解答できません。

結局のところ、記述問題は暗記科目です。

 

 

■記述問題の難易度

3問は、だいたい次のような難易度になっている気がします。

・きちんと勉強していれば当然に知っているであろう知識:2問

・かなり勉強していないと知らないであろう知識:1問

たとえば、令和3年の本試は、①「行政指導中止の求め(行政手続法)の条文」、②「債権譲渡禁止(民法)の条文」、③「占有物瑕疵(民法)の条文」が問われました。

①と②は当然に知っているであろう知識です。

③はおそらく、一般的な受験者は学習できていないと思います。

つまり、最高に得点できても40点だろうと想定しておくのが良いです。

 

 

■40点を確保できるか

では、その40点は確保できるのでしょうか。

おそらく、40点を確保するのは難しいです。

 

たしかに3問中2問は、きちんと勉強していれば当然に知っているであろう内容です。

しかし、当然に知っているであろう知識でも、意外と正確には書けないものです。

たとえば、

・「法律上の争訟」となるのはどのような場合か…

・「法律上の利益を有する者」とはどのような者か…

・行政行為の「処分」とはどのような行為か…

こういったことは、おそらくきちんと試験勉強をすれば一度は学習していると思います。

しかし、正確に書けとなると、おそらく結構難しいと思います。

当然に知っているであろう知識でも、何となくわかるけど、うまく書けない。こういう問題が必ず出てきます。

 

 

なので、減点・部分点の結果、全体で20点程度の得点になれば上出来だと思います。

 

 

行政書士試験の合格は180点です。

記述で20点と仮定すると、残りで160点必要です。

記述以外で、160点を得点できるか。

これが行政書士試験合格の目標になります。

六法は必要か

必要ありません。

 

法律系資格を目指す方にとって、分厚い六法を手元において勉強する…というのは、憧れかもしれません。

しかし、行政書士試験の独学では、六法は不要です。

購入しても、学習中に使う機会はほぼないと思います。

あるいは、私の考えですが、使わない方がよいとさえ思っています。

 

行政書士試験の勉強では、細かく正確に参照すべき法律は、ごく限られています。

それらは、市販の行政書士試験用の基本テキストに付属している、小さな法律集で十分カバーできます。

あるいは、ネットからそれらの法律をダウンロードして印刷してもよいと思います。

 

いたずらに大部な六法を買って、あれもこれも気になる条文を参照しながら勉強する…というのは、おそらく学習効率が悪いです。

 

 

■全体を正確に覚えておきたい法律

全体を正確に覚えておきたい法律は、以下の通りです。

ほぼ行政法で、ごく限られています。

【必須】

・行政手続法

・行政代執行法

行政不服審査法

行政事件訴訟法

国家賠償法

憲法(統治)

【余裕があれば】

個人情報保護法

行政機関個人情報保護法

 

これらは、暗記するつもりで勉強しておくのがよいです。

そのため、法律文面の全体を入手して手元においておく必要があります。

 

これらは、市販されている行政書士用の基本テキストに付属されている、小さな法律集でカバーできると思います。

あるいは、条項数が少ないので、ネットからダウンロードして印刷してもよいと思います。

 

 

■参照しなくてもよい法律

私の考えでは、民法、商法・会社法地方自治法等は、わざわざ六法で条文を確認する必要はありません

これらは、実際の法律ではなく、テキストに載っている基本的な条文のみを把握しておく、という学習で十分だと思います。

テキストに載っていない条文は、諦めてよいと思います。

いたずらに学習する範囲を広げるのは避けるべきです。

人生は無限ではありません。

どうしても気になった条文は都度ネットで調べればよいです。

 

 

■小さな法律集を使うメリット

基本テキストに付属する小さな法律集を使う最大のメリットは、持ち運びやすいことです。

小さく軽いため、気軽にカバンから取り出して条文を眺めることができます。

 

六法は持ち運びに不向きです。

どれだけ小型の六法でも、それなりに分厚く、重いです。

持ち運んで使うというより、自宅の机で使うのがメインになると思います。

 

法律を暗記するとき、あなたは必ず勉強机に向かっていますか。

あるいは、通勤時間なども使って隙間時間で暗記したいですか。

 

携行性も考慮すると、私は六法よりも付属の小冊子や印刷した個別法律のほうがはるかに使いやすいと思います。