行政書士試験独学ブログ

行政書士試験に独学で挑む方のために

市販の基本テキストの問題点

行政書士試験用の市販の基本テキストをベースに独学するのは、かなり難しいと思いました。

理由は、

・網羅性が十分ではなく

・分野によっては記述が簡潔過ぎて理解しにくい

ためです。

 

行政書士用の基本テキストは、各社創意工夫をこらして作成しています。

初学者が独学する場合も、絶対にどれか一冊は購入すべきです。

 

しかし、これをベースに合格を目指すのは、私には無謀に思えます

2、3ヵ月で全体を何となく読み、試験範囲の概要を把握した後は、他のテキストに移行すべきです。

 

別の記事で述べましたが、基本テキストのみを何となく読むだけで、合格可能圏(合格確率40~50%)には到達します。

しかし、合格可能圏というのは、まぐれ合格に一縷の望みをかけるレベルです。

模試や過去問ではたまたま180点を超えることがあるかもしれません。

本番の試験だって、2回受験すれば、1回は合格できるかもしれません。

しかし、それは、たまたまであり、偶然であり、実力でもなんでもありません

 

あなたは偶然の合格を目標に勉強しているのでしょうか。

確実に、絶対に、合格したいのではないでしょうか

もし、あなたが真剣に合格を目指していて、行政書士用のテキストでの独学で苦労しているなら、それはあなたの能力のせいではありません

行政書士試験用の基本テキストだけでは、安全合格は難しいのです。

 

 

■基本テキストに難が生じる理由

行政書士用の市販基本テキストは、網羅性がそれほど高くなく、かつ分野によっては説明が簡潔過ぎて理解できません。

これが、初心者の合格確率を頭打ちにし、独学を難しくする理由です。

 

このような問題が生じる原因はいくつか考えられます。

下記は、私の妄想です。

しかし、私は学習予備校で教材作成を担当していた数年間の経験があるので、それほど的外れではないと思います。

 

<営利的理由>

できるだけ多くの人に買ってほしいので、値段は3000円弱にする必要があります。それ以上高いと、誰も手に取ってくれません。

また、絶対に1冊に収めるに必要があります。複数分冊だと買ってもらえません。

また、カラー刷りで初心者の気を引くことも重要です。イラストも欠かせません。

 

<受講者特権的理由>

各予備校、最も大切にしたいのは、自社の受講生です。

本当に重要で有益な教材や情報は、受講生のためだけに取っておきます。

そういう教材や情報がほしい場合は、予備校の生徒になる必要があります。

市販の教材では、情報を出し惜しみする場合があります。

 

このような複数の要素を考慮しながらテキストを作成するため、結果として、網羅性が十分ではなく、かつ分野によっては説明が簡潔過ぎるテキストが完成します。

 

 

■基本テキストが使いにくいことによる弊害

基本テキストが読みにくいと、学習者は早々にテキストをおろそかにし始めます

そして、行政書士試験用の問題集に走ります

 

こうして、問題集ベースの学習が始まります

この問題集を何ページまで解いた、XX周もやった…。

問題集で間違えた箇所を、テキストやWebで確認する…。

 

別の記事で述べましたが、問題集をベースに学習すると、得られる知識は穴だらけになり、かつ散漫になります。

学習はあくまで、テキストを中心に進めるべきです。

問題集は、テキストの知識を定着させる補助教です。

 

 

■では、何をテキストとすべきか

本格的な勉強を始めるなら、民法や商法は、司法書士試験用の基本テキストが有益です。

司法書士試験用のテキストは、具体例が豊富で、説明も丁寧なので、初心者にとっては逆に理解しやすく、学習効率が上がります。

 

無駄な勉強が多くなるのではないか…と思われる方がいらっしゃるかもしれません。

私も、そう思っていました。

しかし、模擬試験や本試を経験してみて思いますが、無駄ではないです。

司法書士試験と行政書士試験で、民法と商法の難易度にそれほど差はない気がします。

 

また、行政法は、司法試験用のテキストを使うしかありません。

なぜなら、司法書士試験には行政法が出題されず、したがって司法書士用の行政法テキストがないためです。

司法書士を飛ばして、いきなり司法試験用のテキストを使わざるを得ません。

 

司法試験用のテキストを使うメリットは、なんといっても、判例が網羅的に掲載されていることです。

行政書士の基本テキストでは、判例の掲載にムラがあるか、掲載されていてもごく簡潔なので独学には向きません。

行政書士試験には、そんなに判例知識はいらないのでは…と思われる方もいらっしゃると思います。

しかし、模擬試験や過去問を解いたことのある方なら、同意してくださると思います。

判例知識はきわめて重要です。

それが網羅的に掲載されている司法試験用テキストは、学習効率を飛躍的に向上させてくれます。

 

 

■結論

行政書士試験用の市販テキストは、さまざまな制約のもとに作成されていると思われ、結果として初学者が独学する際のベーステキストとしては不向きになっています。

真剣に合格を目指したい場合は、行政書士用の基本テキストに加え、他のテキストの使用も検討すべきです。